高粘度液体の表面張力

いつもコラムを読んで頂きありがとうございます。今回のテーマは高粘度液体の表面張力測定です。『液体の表面張力を測定したいのですが、どれくらいの粘度まで測れますか?』という質問を良く頂きます。 

ペンダントドロップ法では、針先より液滴を吐出して、『しずく(ペンダント)』をつくる必要があります。この『しずく』の形状を画像解析して表面張力を算出します。

ところが液体の粘度が高いと、シリンジでは吐出吸引が困難な場合があります。

ペンダントドロップ法吐出画像

そこで今回は、粘度が高そうな液体を使用して、吐出吸引が可能か試したいと思います。用意した液体は、トリートメント、シャンプー、はちみつ、保冷剤です。アタゴ社製粘度計VISCOで各液体の粘度を測定しました。それぞれの液体の粘度は以下の通りです。

トリートメント 13731.0(mPa・s)
はちみつ 5343.7(mPa・s)
保冷剤 4987.0(mPa・s)
シャンプー 733.6(mPa・s)

※測定開始1分後の値を採用。


高粘度の液体では、針を取付けた状態では吸引が困難なため、針を外した状態で吸引するなど多少コツがいりますが、どの液体も吐出吸引する事が出来ました。吐出した時の液体の状態は以下の通りです。

トリートメント
トリートメント
はちみつ
はちみつ

保冷剤
保冷剤
シャンプー
シャンプー

保冷剤以外は、懸滴が綺麗な雫状になっている事がわかります。

※トリートメントについては、下記測定画像のように懸滴が綺麗な雫状にならない事があり値がばらついたりするので、測定値の取扱に注意が必要です。

トリートメント(懸滴変形)
トリートメント(懸滴変形)

はちみつやトリートメントのようなドロッとした液体でも吐出吸引が可能である事がわかりました。ただし、はちみつと同じぐらいの粘度でも、はちみつと比べて外見上流動性の低い保冷剤のようなゲル状の液体ですと懸滴が綺麗な雫状にならず測定が困難な場合があります。

測定可否の判断には粘度だけでなく、液体の流動性も関わってくるのではないかと思われます。

(Y.S)