対数グラフのメリット

接触角計コラムのページにご訪問いただき、ありがとうございます。

今回のテーマは「対数グラフのメリット」になります。

さて、まずは弊社の接触角計をご利用いただいたことのない方へ向けて少しだけ装置のご説明をさせて頂きますと・・・・。弊社の接触角計には経時変化測定機能が備わっていて、測定結果のグラフが自動で描画されます。

 

縦軸が接触角の測定値で横軸が経過時間になるのですが、横軸の経過時間が通常の時間表示と対数表示で切り替えられる仕様になっています。

 

ちなみに既にご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、対数グラフとは1目盛ごとに1、10、100・・・という具合に一定倍率で増えていく目盛のグラフのことです(「10」を底とする対数の数値に応じた目盛間隔)。・・・・・念の為、ご説明させていただきました。

何故、通常の時間表示だけでなく対数グラフも描画できるようになっていると思いますか?

私は入社したばかりの頃、「対数グラフ、必要なくない?」などと思っていた記憶があります。

もちろん対数グラフをご用意しているのにはちゃんと意味があります。入社当時、先輩に教えてもらいました。ご興味のある方はお付き合いください。

さて、先に結論を言ってしまうと対数グラフのメリットは、接触角の急激な濡れ広がりの変化の様子をわかりやすく可視化できるところにあります。

どういうことかと言いますと・・・・。2枚のグラフをご覧いただけますでしょうか。同じ測定結果でも「通常の時間表示」と「対数表示」でグラフの形がどう変わるのかがお分かりいただけると思います。測定は5秒間行いました。

コラム 対数グラフのメリット 通常のグラフ
通常の時間表示のグラフ
コラム 対数グラフのメリット説明グラフ
対数グラフ

「通常の時間表示のグラフ」より接触角は着液させた瞬間(0秒)~1秒までが最も変化が大きいことがわかります(厳密にはもう少し短い時間で急激に濡れ広がりますが)。

 

1秒経過する間に接触角は急激に変化する為、「通常の時間表示のグラフ」ではその変化の様子がイマイチよくわからないといったことが起こります。変化が急なのは見てわかりますが、細かな様子までは・・・・・。

そこで対数グラフの登場です。

「対数グラフ」を用いれば「通常の時間表示のグラフ」ではわからなかった接触角の急激な変化の様子が明確にわかるようになります。着液させた瞬間(0秒)~1秒までが変化が大きいように見えましたが、実際には着液させた瞬間(0秒)~100msくらいが変化が大きかったということが読み取れます。

 

このように対数グラフは値が急激に増加したり減少したりする場合に、その変化をわかりやすく可視化する為に用いられます。これが対数グラフのメリットです。

 

 

いかがでしたでしょうか。

対数グラフのメリットについてお分かりいただけたでしょうか?対数グラフ表示機能は全ての御客様にとって出番がある機能ではないかもしれませんが、今回ご説明させていただいたようなケースには有用かと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。                    

(T.S)