測定のコツ:界面張力測定

いつもお世話になっております。あすみ技研、接触角計コラム担当のT.Sです。

 

今回コラムは「界面張力測定」についてです。界面張力測定では容器側とシリンジ側の液密度についてどちら側を高密度、低密度にするかでストレート針での測定になるか、又は逆向き針を用いた測定になるかが変わってきます。それによって測定前準備の「共洗い」、「シリンジ内のエアー抜き」、「測定時の明るさとフォーカスの調整」のやり方も少し変わります。

今回のコラムではそのあたりを弊社ではどのように行っているかご紹介していきます。御客様の測定の参考にしてみてください。それでは今回も最後までお付き合いください。よろしくお願いします。

ストレート針での測定の場合

ストレート針での測定は容器側が低密度液、シリンジ側が高密度液の場合となります。測定は写真のようになります。

界面張力測定画像

測定の流れとしては表面張力と同様に「共洗い」、「シリンジ内のエアー抜き」、「測定時の明るさ調整とフォーカス調整」、「測定」の順になります。「共洗い」、「シリンジ内のエアー抜き」については「測定のコツ・ポイント~表面張力測定編~」をご覧ください。やり方は同じです。

 

界面張力測定での「測定時の明るさ調整とフォーカス調整」のやり方ですが、容器内に液が満たされている状態で行っていただくことを推奨します。なぜ液が満たされている状態で行う必要があるのかというと、液が満たされている場合とそうでない場合で明るさとフォーカスの具合が若干異なる場合がある為です。接触角測定でも明るさとフォーカスの調整は大事ですが、表面張力測定と界面張力測定では更に大事になってきます。明るさとフォーカスの調整が十分でないと測定値が本当の値よりも小さく出てしまう場合があります。

「測定時の明るさ調整とフォーカス調整」が完了したらいよいよ測定です。測定時の懸滴量については、懸滴が落下する寸前の液量とするのがセオリーです。あんまりギリギリにすると測定中に落下してしまい、再測定となり測定に時間がかかってしまいます。本測定前にその液量を確認しておくのがよいと思います。

逆向き針での測定の場合

逆向き針での測定は容器側が高密度液、シリンジ側が低密度液の場合です。測定は写真のようになります。

界面張力測定(逆)

測定の流れとしては先ほどのストレート針と同様に「共洗い」、「シリンジ内のエアー抜き」、「測定時の明るさ調整とフォーカス調整」、「測定」の順になります。逆向き針とストレート針では「共洗い」と「シリンジ内のエアー抜き」のやり方が少し違います。 針先が天地逆なのでやり方については想像に難しくはないと思いますが(汗)。

次に逆向き針での「共洗い」と「シリンジ内のエアー抜き」の行い方のご紹介です。

まずは「共洗い」のやり方からご紹介します。写真①、②をご覧ください。

写真①:液吸引時
写真①:液吸引時
写真②:液吐出時
写真②:液吐出時

ご覧いただいてわかるように「共洗い」の際、液吸引時と吐出時で針先の向きが変わります。ですので意識せずにストレート針の意識で作業してしまうと液が自分にかかってしまったり、周囲に飛び散ってしまうので注意が必要です。続いて「シリンジ内のエアー抜き」についてです。

「シリンジ内のエアー抜き」についても先ほどと同様、針先の向きに注意が必要です。写真③、④をご覧ください。

写真③:エアー抜き前
写真③:エアー抜き前
写真④:エアー抜き後
写真④:エアー抜き後

ストレート針なら針先は上を向きますが、逆向き針だと針先が下を向きます。「共洗い」の時と同様、ストレート針と同じ意識でエアー抜きもしてしまうと液が自分にかかってしまいますので注意してください。エアー抜きの際にはキムワイプ等でエアーと一緒に吐出される液を受けてあげるとよいと思います。「共洗い」、「シリンジ内のエアー抜き」ができたら「測定時の明るさ調整とフォーカス調整」です。やり方はストレート針の時と同じように行ってください。明るさとフォーカスの調整が完了したらいよいよ測定です。懸滴量も先ほどのストレート針の時と同じ考え方で決めてもらえればよいと思います。

今回コラムは少し文章が多くなり、説明的になってしまいましたがいかがでしたでしょうか?界面張力測定をお考えの御客様の不安や疑問の解決に本コラムが少しでも役立てば幸いです。それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(T.S)