吐出される液量の算出について

接触角計・表面張力計コラムのページにご訪問いただき、ありがとうございます。

 

本日のテーマは「ソフトウェア上に表示される液量の算出方法は?」です。

装置を使う分にはあまり気にならない部分かなと個人的には思っていたんですが、やっぱりメーカーの技術者の方はそういう部分も気になる方が多いのかもしれません。技術者の方の探求心、恐れ入ります。

そのような疑問をお持ちの技術者の方、技術者の方でなくてもどのように液量を・・・・?と思われている方へ向けて今回のコラムを書いていきます。

さて、接触角測定や表面張力測定を行う際にはまず「懸滴」を作る必要があります。まずはここで液量として「懸滴量」が出てきます。更に接触角測定では作った懸滴を試料に着液させるので、更にここで「着液量」が出てきます。接触角計・表面張力計で「液量」と言うと、この2種類です。写真は解析ソフトの画面で赤枠部分に懸滴量と着液量がそれぞれ表示されます。

懸滴画像
懸滴画像
着液画像
着液画像

この2種類の液量ですが、その計算はソフトウェアで別々のロジックで算出を行っています。以降、その計算方法についてご説明していきます。

①懸滴量の計算方法

装置のカメラで捉えた液滴画像を限りなく薄く水平方向に輪切りにして、それぞれを限りなく薄い円柱と仮定します。限りなく薄く輪切りにした円柱について体積を計算し、それを積算していって懸滴量を計算しています。

この方法であれば表面張力が低く、下方に垂れ下がる洋梨形状のようにくびれのある懸滴であっても正確に液量が計算できます。イメージとしてはイラストのような感じです。

液量計算説明画像

②着液量の計算

着液後の液量はその液滴が球の一部をなしていると仮定した体積(着液量)となります。まずは装置のカメラで捉えた液滴画像(球の一部と仮定)から球の体積を計算。着液量は計算した球の球欠部分になるので、先ほど計算した球の体積から球欠の体積(着液量)を計算するといった具合です。

イメージは下記の写真のような感じになります。

液滴を球の一部とみなし、水色の球の体積を計算
液滴を球の一部とみなし、水色の球の体積を計算
液滴は計算した球の球欠部分になるので、 先ほど計算した球の体積から水色の液滴 部分の体積を計算
液滴は計算した球の球欠部分になるので、 先ほど計算した球の体積から水色の液滴 部分の体積を計算

着液後の液量は液滴を球の一部とみなすことで計算するので、例えば比重の重い水銀のような液だと自重で少しつぶれた形状となる為に正確な体積(液量)は計算できません。

水銀は着液させるとこんな感じになります。よくみるとちょっとだけ潰れてますよね。もちろん液量にもよるのですが、水銀は比重が重いので着液時には潰れやすくなります。

着液量計算の仕組み

ちなみにですが、先ほど書いたように着液後の液量は液滴が球の一部をなしていると仮定した体積(着液量)となるので、着液後の液量は主に液体試料が固体試料に吸収される場合の吸収性の評価に用います。

今回は接触角計・表面張力計のソフト上に表示される液量についてでした。

液量を直接計っているわけではなく液滴の画像から液量を計算している為、チキソ性を有する液や水銀のように重さがあるような液だと、若干正式な値とはことなります。その場合は参考値としてご利用ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(T.S)