CMOSセンサについて

CMOSセンサなのには理由があります!

あすみ技研のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。今回コラムは最近登場頻度多めのT.Sです。よろしくお願いします。さて、今回は接触角計の命といっても過言ではない「イメージセンサ」がテーマです。

以前から懇意にさせていただいている御客様から最近このようなこと質問を頂きました。

「接触角計ってカメラ使ってるけど、あすみさんは何でこれにしてるの?CMOSカメラ?言葉だけは知ってて何がいいかは知らないんだけど。そう言えばCCDカメラ(注釈1)っていうのもあったっけ?」

・・・・・・この電話の後、設計を捕まえて色々聞いたのは言うまでもありません(汗)。

というわけで今回は当社接触角計/表面張力計のイメージセンサはなぜCCDセンサではなく、CMOSセンサなのか?

これについて書いていきます。それでは早速まいりましょう!!

撮影カメラ

注釈1:今回のコラムのテーマは、レンズより取り込んだ映像(光)を検出、数値化する手法について説明しますので、これ以降『イメージセンサ』『センサ』に表記を統一させていただきます。当初、テレビ放送を通じて、レンズや絞り、CCDイメージセンサなどを一体化した撮影装置を『CCDカメラ』と呼ばれていたため、『CCDカメラ』という表現が普及しています。


それでは、まず『イメージセンサ』とはどんなものか説明させていただきます。ここ20年で、すっかりデジタルカメラが普及し、特にスマートフォンの普及で『CCD』や『CMOS』という言葉を聞いたことがないという方はいなくなったと思います。ただ、『違いは?』と聞かれると、あまり気にされている方はいないと思います。

イメージセンサとは

イメージセンサ

イメージセンサとは光センサと呼ばれる半導体チップの集積回路の一種で光の強度を検出して電気信号に変換するセンサです。固体撮像素子(こたいさつぞうそし、英語: solid state image sensor)とも呼ばれます。 

身近な物での使用例を挙げるならばデジカメや防犯カメラなどにはイメージセンサが使われています。このイメージセンサのおかげで私たちは撮影した画像をデジタルデータとして扱うことができます。

ではこの2種類のセンサは具体的に何が違うのでしょうか?

イメージセンサは先ほど書いたように、光の強度を検出して電気信号に変換するセンサですが、CCDセンサとCMOSセンサではその変換方式が違います。

表1.CCDセンサとCMOSセンサの変換方式

センサー種別 変換方式
CCDセンサ 入ってきた光から受け取った情報を一度全部受け取った後、読み込み変換していく方式。
CMOSセンサ 入ってきた光から受け取った情報を受け取ったものから順番に読み込み変換していく方式。

いかがでしょうか?

・・・?

・・・?

 

「いかがでしょうか?」じゃないですよね(汗)。

おそらくほとんどの方が「???」という感じになるのではないでしょうか。このままではここまでお読みいただいた方に申し訳ありませんのでこの違いは何を意味していて、どんな違いがあるのかを具体的にご説明致します。CCDセンサとCMOSセンサを比べた時の主たる違いですが、これらも表にしてみました。ご覧ください。

表2.CCDセンサとCMOSセンサの比較

センサ種別 電力消費 処理速度 画質
CCDセンサ  大きい 遅い 以前は比較的高画質だった
CMOSセンサ 小さい 速い 以前は比較的画質が劣った

『ん?この表を見るとCMOSセンサの方が画質はCCDよりも劣るのでは・・・?』と思われた方もいらっしゃると思いますが、ご安心ください。

以前の普及当初は確かに画質の差があったのですが現在その差はなくなってきています。画質の差がなくなると、今度はCMOSのメリットが目につきます。CMOSイメージセンサは『電力消費が小さく(今はやりのSDGsとか)』、『処理速度が速い(動的接触角の画像処理に向いている)』ということです。


詳細は、『ソニー半導体の奇跡―お荷物集団の逆転劇』を一読ください。     

ソニー半導体の奇跡

スマートフォンカメラなどに搭載される「電子の目」、イメージセンサー。ソニーのイメージセンサー事業は現在シェアナンバーワンで、ソニーの収益面をがっちりと支えている。
 しかしこの事業、実はソニー社内では「問題事業本部」「負け組」「お荷物集団」と言われ、事業所の中心も神奈川県厚木市の「辺境」にある。そして、会社のトップはひそかに事業売却を検討していた――。
 一体どのようにしてソニー半導体は幾多のピンチを乗り切り、ついには会社の基幹事業といわれるまでになったのか? 素人本部長とプロの技術者集団による痛快逆転ストーリー!

Amazonサイトより引用


昔、CCDセンサはCMOSセンサに対して高画質という優位点があって確かに主流だったようです。この時、『イメージセンサと言えば、CCD!CMOSは傍流!』という印象になったのでしょうか。主流だった当時、CCDセンサは飛行機のコックピットのカメラに使用されたり、VTR一体型ビデオカメラに搭載されていましたが、当時の技術者達が先見の明でCMOSセンサーに注目、進化させて今があります。

現在ではCMOSセンサがCCDセンサとの画質の差を縮め、今の光強度センサの主流はCMOSセンサとなった次第です。そしてこのような背景を知っている当社の設計者は接触角計のカメラにCMOSカメラを採用しているというわけです。

今回のコラムは、40代や50代の方向けかもしれません。若い人は、物心ついた時からCMOSセンサかもしれません(フロッピーディスクとかテレホンカードとか見たことなっかったりしますし)。

それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

(T.S)