二値化について
あすみ技研のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。今回は接触角計の画像解析について書いていきます。今回のコラムはまたまたT.Sです。よろしくお願いします。
まずは当社の接触角の解析方法についてのご説明です。
当社の接触角計はカメラで取得した画像を解析して接触角を測定します。
ここで皆さん、疑問に思うことはないでしょうか?
私自身、この装置を担当して間もない頃は「なるほど~」と納得していましたが、装置の扱いに慣れてきたころ、ふと思いました。
画像解析って言えばそれだけになってしまうけれど、具体的にソフトはどのように画像を解析しているんでしょう?たまにありませんか?接触角測定で目視ではベースラインは液滴のもう少し下なのに、ソフトの解析ではなぜかその上を認識してしまっているとか。
今回はこんな接触角測定の解析あるあるについて書いていこうと思います。そしてそのポイントとなるのが今回のテーマでもある「画像の二値化処理」です。それでは今回もよろしくお願いします。
ここから本題です。それではまず「二値化は何ぞや?」というところから入っていきましょう。普段生活している中では「二値化」なんて言葉、使いませんからね(汗)。
二値化とは
二値化処理とは簡単に言ってしまえば濃淡のある画像、今回は接触角測定の画像になりますがこれについて白と黒の2階調に変換する処理のことです。
「二値化」をネットで検索すると binarization とか image thresholding の英訳が出てきます。読んで字のごとく日本語の方は「二つの値にする」という意味で、英語の「binarization」も同様ですね。
ちなみに「thresholding」の方は、「しきい値処理すること」ですので、こちらもしきい値で二つに分けるとなり意味は一緒になります(当然ですが・・・・)。
具体的にはある任意のしきい値を決めて、その値より画素の数値が上回っていればその画素が薄灰色でも白に置き換えられます。逆に下回っていればその画素は黒に置き換えられます。そうやって画像解析を行うことで接触角測定のベースライン、角度を測定しているというわけです。
例えば、イラスト1のような濃淡の画像があったとします。
こちらをしきい値35で、二値化すると・・・・。
この様に、画像を単純に二つの濃さに分けるということです。
デジタル処理には人間のような「だいたいこれくらいかなぁ・・・」のような曖昧な判断は存在しません。グレーな部分についてもパソコンは「白」か「黒」で判断します。
ミニ用語説明
- 画素・・・・・・スマートフォンでおなじみのワード。画像の最小単位のことでピクセル(pixel)とも呼ばれます。この画素の集合が画像となり、画素単体では色のついた点。
- 階調・・・・・・色や明るさの濃淡の段階数。階調は数字で表されます。2階調や16階調、256階調という具合に表現します。例えば「白と黒の2階調」であれば濃淡を白と黒への2段階で表現になります。ちなみに接触角計の階調は256階調です。
- しきい値・・・閾値とも書きます。境目となる値のことを指す言葉。「敷居が高い」とは漢字が違いますが、なんとなく意味が似ている気がします、詳細は、N〇Kのチコちゃんにでも聞いてください。
事例
ここまでで二値化というものがどんな処理なのか、なんとなくでもわかっていただけたのではないでしょうか?ここからは実際の測定画像を用いてもっと具体的に二値化を経験していただこうと思います。写真は樹脂板に純水を着液させて接触角を測定した時の写真です。
さて、接触角のベースラインは「A」と「B」のどちらが正解でしょうか?
これ、正解は「B」です。一見「A」が正解に見えなくもないのですがね(苦笑)。
ではこの画像を二値化処理編集した画像で見ていきましょう。
先ほどの写真の赤線部分がグレー色になっています。こういう部分はベースラインの解析に曖昧さを持たせたり、解析をやりにくくする原因となります。ここを少し二値化処理編集してわかりやすくして・・・・。
いかがでしょうか?先ほどの画像と違うように見えるのは、この画像が二値化処理用表示の為です。赤線部分の下に解析ベースラインがあるのがわかると思います。ここがさっきの写真の緑色のラインになります。元の測定画像に少し二値化画像処理・編集をしてあげることで、より確かな解析が行えます。
いかがでしょうか?
接触角測定では固体試料の光の反射具合や液体試料の濡れの関係でどうしてもグレー色の部分が出てきてしまい、一発で解析が上手くいかないこともあります。そのような時は二値化処理・編集機能を使って再解析すると上手くいくこともたくさんあります。
装置をレンタルされた御客様やご購入した頂いた御客様、これから御利用を検討されている御客様で解析が一発で上手くいかない時はぜひ一度お試しください。その際質問ございましたら、お気軽に弊社までご連絡ください。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(T.S)