接触角測定で出来ること

接触角を測定することにより、下記のような固体と液体の特性を数値化することが可能です。

接着性を予測できます

【図1】の(a)と(c)を比較すると、液体が接着剤であった場合、(a)の接着剤はこの固体をよく接着できないことが容易に予測できます。

 

一方、(c)のような接着剤は、固体に良く馴染んでおり、良い接着性であることが予測できます。

濡れ性の様子

実際の例を挙げると、フッ素樹脂加工をしたフライパン上では食品(多くは水分を多量に含む)は、(a)の状態を示し、フライパンに付着せず調理ができるわけです。フッ素樹脂加工した面は非常に撥水性が高いことが知られています。

 

粘着ラベルに使われている剥離紙の剥離剤処理をした面は、水滴を落としてみると分かることですが、非常に撥水性が高いことが分かります。

 

実際には試すことはなかなか難しいですが、粘着剤は剥離紙の剥離剤面では(a)の状態の接触角を示します。そのことにより剥離紙の役目が果たせるのです。

表面の汚れを知ることができます

接触角は非常に薄い単分子膜(厚さ0.1~0.05μm)でも再現性よく測定できます。

 

清浄な固体表面が部分的に付着物で汚染されていたとしても、水滴などの接触角を測定することにより、その固体表面が清浄かどうかを判別することができます。

表面処理が適切にされているかの判別が可能です

上記と同様な理由で、コロナ放電処理をしたフィルム面の状態を判定できます。

例えば、JISに示されている濡れ張力の試験方法も、接触角を測定することにより、定量的で正確な情報を得ることができます。

界面化学的な物理量を求めることができます

液体の表面張力と接触角を知ることにより、理論式を用いて固体物質の表面張力(表面自由エネルギー)を求めることができます。また同時にその物質の極性、水素結合性などを定量的に知ることができます。