経年劣化による影響
半年程度、室温保管したジヨードメタンは使用可能?
いつも接触角計コラムをお読み頂きありがとうございます。今回のテーマは「半年程度、室温保管したジヨードメタンは使用可能?」です。
表面自由エネルギー計算を行ったことがある方であれば御存じとは思いますが、試薬のジヨードメタンって少量だとアンプルに入っています。大概一度の測定では使いきれませんので、結局余ってしまいます。余ったジヨードメタンをそのまま長らく保管されるケースもあると思いますが、月日が経ち、半年後とかに不意に開封されたジヨードメタンを発見。口にラップして保管してあるけど・・・これは使用可能なのか?、劣化とか問題ないのか?廃液するのはもったいないし、かと言ってちょっとした実験に新品を買うのはお金かかるし・・・でも使うのには漠然とした不安が・・・
少し脚色しすぎた感もありますが、今回このような状況を想定して使う、使わないは置いておいて新品との違いを見てみようと思います。それではさっそく測定していきます。
今回は表面張力測定にて新品と開封から約半年経過した物を比べていきます。もちろん針とシリンジは新品を使いますので、新品と半年経過品との違いを純粋に見れるのではと思ってます。
測定条件は下記の通りです。
測定条件
- 使用装置:B100
- 液体試料:ジヨードメタン(ヨウ化メチレン)の0.5年物 ※1
- 針サイズ:25G
- 懸滴量:1.5μL
- 測定回数:3回
- 測定時間:5秒(測定値は5秒経過時点での数値を採用)
※1 保管はアンプル開封後、口にラップを巻いて輪ゴムで縛った後、当社ラボルーム内の一般環境下でおよそ半年保管。
測定結果
測定1回目:48.95mN/m
測定2回目:48.31mN/m
測定3回目:48.58mN/m
測定1回目:48.25mN/m
測定2回目:48.93mN/m
測定3回目:49.12mN/m
・・・あれ?少なくとも・・・今回やってみた結果では表面張力はほぼ変わらないという事になりました。ちなみにですが、ジヨードメタンの正しい保管方法は温度湿度一定の冷暗所にて保管するのが望ましいようです。さらにベストであるのは開封した容器内に不活性ガスを封入することです。もしできる御客様、いらっしゃいましたら室内保管でなく、そのようにするのがベターかと思います。メーカーに問い合わせたところ、使用期限はジヨードメタン(未開封品)で半年との事です。
今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
(Y.S)