ビン底面のぬれ性測定
接触角計・表面張力計コラムのページにご訪問いただき、ありがとうございます。
今回は少し前にとある企業様からご相談を受けたテーマです。
「ビン底面の濡れ性をビンを壊さないで測定することはできないだろうか?」という内容でした。というわけで、今回コラムは「ビン底面の濡れ性測定(非破壊)」についてです。
接触角計による濡れ性測定は一般的に側面からの撮影になり、ビン底の濡れ性を測定しようとすると瓶の側面がうまく透過せず、また局面ゆえに像が歪んでしまう可能性があるのが理由です。
こんな場面で登場するのが「濡れ性測定の上面観測手法」になります。この方法であれば、ビンを壊すことなくビン底の濡れ性を測定することが可能となります。
今回コラムでは上面観測手法で実際にビン底面の濡れ性測定を行ってみます。測定に使用するビンはこちら。
ビンには当然色々大きさがありますが、非破壊で且つ接触角計で濡れ性を測定する場合ですと、このくらいの大きさまでとなるでしょうか。
さて、濡れ性の上面観測手法で使用する接触角計はこちら。上面観測対応機種の「F200T」です。上面観測対応の接触角計には通常の側面カメラに加えて上面観測用のカメラも搭載している為、2方向からの測定が可能です。今回はこの装置でビン底面の濡れ性を測定していきます。
ビンの中に針の先端が入っているのがわかると思います。この針の先端に液滴を作成。ビン底面に着液させて濡れ性を測定します。上面カメラがある都合、上面観測対応機種で用いる針は通常のストレート針ではなく「曲げ針」と呼ばれる90°に折れ曲がった針を使用します。
次に側面カメラと上面カメラの画像をご覧ください。
着液前の画像
着液後の画像
数値の見方についてはまた別のコラムで細かくご説明します。今回のコラムでは上面観測対応の接触角計ならこのような画像が取得出来て、ビン底の濡れ性もその物を壊すことなく測定ができるということをまずはお伝えさせていただけたらと思います。
さて、今回測定したビンはそんなに側面画像が歪みませんでした。歪む物だともっと顕著に違いがわかるのですが・・・・。今回はほとんど像の歪みが見られなかったので側面観測でも問題無かったかもしれませんが、側面画像がもっと歪んでしまうような物だと上面観測が非常に有効になります。
但し、上面観測で接触角を測定する場合には注意点もあります。上面から液滴を見るが故に濡れ広がりの均一性が目につきます。今回の測定画像の場合はかなり綺麗に均一に濡れ広がっていますが、もしも濡れ広がりがいびつであった場合、どのように評価しようか・・・・という問題が新たに出てきます。側面観測の場合は濡れ広がりの均一性は無視して、一方向から見た時の接触角で評価することになります。
評価はしやすいですが、厳密に言うならば測定の曖昧さは上面観測より含んでいると言えるでしょう。それでは今回はこのあたりで。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
(T.S)