純水について

いつもお世話になっております。あすみ技研、接触角計コラム担当のT.Sです。今回コラムは界面科学測定機器と密接な関係にある「純水」について書いていこうと思います。よろしくお願いします。

懸滴法(ペンダント・ドロップ法)やWilhelmy法による表面(界面)張力測定、液滴法による静的接触角測定等、純水を使用する場面は多々あります。普段当たり前のように使っている「純水」ですが水道水と一体どこがどう違うのでしょう・・・・。

このコラムをご覧の御客様は答えられますでしょうか?

 

また、答えられるという御客様は純水についてどこまで御存じでしょうか?

「純水は使っているけれど、実のところ詳しいことは・・・」

「不純物を除去した水というのは知っているけれど、特別意識したことは・・・」

「知らなくてもデイリーワークに支障ないしなぁ・・・」


という方にはもしかしたら今回のコラム、少しはお役に立つかもしれません。知らなくても日頃の業務をこなすことはできるかもしれませんが、知っていれば「なお良し!」には違いないかなぁ・・と思いますし。ご興味ある方はトリビア的な感覚で気楽に読んでみてください。(決してトリビアのようにくだらない内容ではないです!!)

既に純水について詳しく御存じの方は「ちょっと違う・・・」というところがありましたら、優しくそっと教えてください。

前置きが長くなりましたが、それでは参りましょう!

なぜ純水を使用するのか?純水とは?

ここから本編です。では根っこの方から順を追っていきましょう。

まずは・・・『何故純水を使うのでしょう?そもそも純水とはなんでしょう?』

純水(じゅんすい)とは、不純物を含まないかほとんど含まない、純度の高い水のことである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


水道水にはカルシウム・マグネシウム・シリカ・ナトリウム・カリウム等のミネラル分が含まれています。このミネラル分が工業機械・工業製品・測定作業に影響を及ぼすことがあります。その場合、水道水は使えないことになります。そこで水道水中のミネラル分を除去した「純水」を作って使用するというわけです。

純水製造装置画像

「純水」と言うからには当然「純度(水質)」というものが存在します。純度は電気をどれだけ通しやすいかという指標で表します(電気伝導率とも言います)。電気伝導率はSI単位でmS/m(ミリジーメンスパーメートル)で表しますが工業単位のµS/cm(マイクロジーメンスパーセンチメーター)も使われます。2つの単位の換算はというと・・・

1μS/cm=0.1mS/m  となります。

純水以上の純度!「超純水」について

話は「純水」から少し逸れますが、高純度の純水(超純水)では電気の通しにくさを示す

比抵抗で水質を表します。単位はMΩ・cm(メグオーム・センチメートル)で、比抵抗は電気伝導率(μS/cm)の逆数で換算されます。

 

◇超純水:純水の精製方法では除去しきれない有機物や微粒子を様々な工程を経て取り除いた純水を差します。物質を溶かし込む性質が強く、その為別名『ハングリーウォーター』とも呼ばれています。物質を溶かし込む性質が強い為、採水後は空気中からに二酸化炭素やイオンが溶け込む可能性があるので扱いに注意が必要。

話を純水に戻しますと・・・純水の純度についてですが明確な定義はありません。但し、

一般的に言われている純水の純度はおよそ0.051mS/mのようです。

純水はRO膜[逆浸透膜]やイオン交換樹脂、

活性炭を使って作ることができます。また水道水を煮沸させて発生した水蒸気を冷却することで作ることもできます。純水の純度については当然純水の作り方によって変わってくるのですが、以下に純水の精製方法による純度の目安を御紹介します。

純水製作画像

  • RO膜(逆浸透膜):およそ0.5~1mS/m
  • イオン交換樹脂  :およそ0.1~0.2mS/m

※ちなみに水道水は「10~20mS/m」くらいです。

乱文乱筆で恐縮ですが、少しは純水についておわかりいただけましたでしょうか?

純水はドラッグストアや通販でも購入できますが、常日頃から使用する機会が多い当社では純水精製装置を完備しております。

御客様が急遽当社のラボへお越しいただいた際に「純水の準備ができていない」というようなことはありません。写真が当社ラボに設置している純水精製装置になります。

ラボの純水製造装置

当社の純水精製装置は活性炭塔とイオン交換樹脂塔を組合わせており精製能力は15L/min、電気伝導率は「0.2mS/m」で、精製過程としては水道水→活性炭→イオン交換樹脂→純水という順に処理しています。水道水から純水を精製する際にいきなりイオン交換樹脂へ流してしまうと水道水中の塩素がイオン交換樹脂を劣化させてしまうので、その前段で活性炭へ流すことで塩素を取り除いています。

当社の受託測定作業では必ず純水を使用していますが、実のところ水道水も純水も表面張力って変わりません。皆様御存じでしたでしょうか?

詳しくはこちらのコラムにありますのでご興味ある方はこちらもご一読ください。

緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだコロナ禍は続いております。弊社では感染対策を徹底して御客様に安心してラボへお越しいただけるよう、努めておりますので当社装置にご興味ある方はぜひお越しください。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。        

(T.S)