傾斜速度の違いによる動的接触角測定
いつもあすみ技研の接触角計コラムを見てくださり、ありがとうございます。ページのアクセス数が書いている人間の励みになりますので、拙い内容かもしれませんが今回もお付き合い頂きたく。
今回も御客様からよく頂く御質問についてです。弊社の接触角計には傾斜法にて動的接触角が測定できる装置があります。その名もズバリ!!「B100W」という装置でございます。
ピンとこない方はぜひこちらのリンクをクリックお願いします。
購入する場合もレンタルする場合も他のラインナップ装置と比較して安くは無いのですが、ありがたいことにお問合せのメール、電話をたくさんいただいております。そんなB100Wですがご利用される御客様からよく聞かれるのが、「傾斜速度はどれくらいがいいんですか?」という内容です。試料台を勢いよく傾けるのと、ゆっくり傾けるのでは勢いよく傾けるほうが余分な外力が液滴に働いて本来の測定値とは違う値になりそうというのはなんとなくイメージできるのではと思います。
今回のコラムではそれを純水とPTFEの組合せのみではありますが、実測して確かめてみようという試みです。
一体どれくらい違うのでしょうか?それではやってみましょう。
実験条件
- 使用装置:接触角計 B100W
- 液体試料:純水
- 固体試料:PTFE
- 傾斜速度:1°/sec~5°/sec
- 懸滴量 :15μL
固体試料の測定前処理
- 固体試料の測定面をIPAを含ませたベンコットにて拭き洗浄
- ベンコットにて測定面を乾拭き(IPA残りの無いよう)
- 測定面を除電ブラシにて除電
測定結果
懸滴量を15μLで固定、傾斜速度は制御範囲1°/sec~5°/secの中で刻みをわかりやすいように1°/secとして測定を実施しました。
結果として懸滴量一定でも傾斜速度が変わると純水とPTFEの組合せでは転落角に約4°の差が出ました。純水とPTFEの組合せでは測定時の傾斜速度が測定に影響することは間違いないのではないでしょうか。弊社では傾斜法測定でこのようなことが起こりえることを経験値として得ていますので、適正な傾斜速度について質問された場合は1°/secを推奨としております。
今回のコラムが皆様のお役に少しでも立てば幸いです。今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。