高速度カメラはどのレベルまで必要か

あすみ技研のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

コラムを担当するのはT.Sです。最近はテレワークが多いのもあって、登場頻度多め(?)ですが、今回もよろしくお願いします。さて今回は最近当社にお問い合わせいただく御客様からのご質問で増えてきた内容について書いていこうと思います。

当社接触角計のスタンダードモデルには「B100」という装置があります。

既にご存じの御客様もいらっしゃいますと思いますが、まだご存じない御客様はこの機会にぜひ知っていただければ幸いです。

冒頭でお伝えした「増えてきた」というのは接触角計B100の「上位機種の接触角計B100Wとそのオプションの高速度カメラへのお問い合わせ」についてです。しかもここ最近で急に

 

質問内容も・・・・ 

「カメラって高速度カメラ?」 とか

「どれくらいのフレームレートなの?」とか

「高速度カメラって何に使うの?何で必要なの?」といった内容も

結構突っ込んだ御質問を頂戴することもしばしば。もちろん私は答えられますが(微笑)。

ちなみに接触角計B100Wという装置については、こちらの リンクをご覧ください。

というわけで今回は当社接触角計オプションの高速度カメラについて御客様へ本コラムを通じてご説明させていただききます。

このコラムを一読いただければ高速度カメラとはどのようなもので、当社オプションの高速度カメラはこの様な設計思想の下で御用意させていただいているということをお伝えできるかなと思っています。

ここから本題です。それではまず「高速度カメラとは何ぞや?」というところから入っていきましょう。

高速度カメラとは

高速度カメラはハイスピードカメラとも呼ばれます(ハイスピードカメラの方が馴染みありますかね?バラエティとかプロ野球中継でも使われています)。よくお笑い芸人とかの目の前で水の入った風船をわられたり・・・。


一般的なカメラと高速度カメラの違いは1秒間に撮影できる写真の枚数となります。

 

この1秒間に何枚撮影できるかのことをフレームレート、あるいはfps(エフピーエス、frame per second)というように表現し、比較に用います。

 

ちなみに一般的なビデオカメラは1秒間に30枚くらい撮影を行っています。つまりは30fpsです。今回コラムを執筆するにあたり改めて調べてみたのですが、高速度カメラと通常のカメラのフレームレートに明確な線引きの定義はないようです。ただ慣例としてフレームレートが30fpsまでは通常カメラ、30fpsを超えるフレームレートを有するカメラを高速度カメラ、ハイスピードカメラと呼ぶようです。

私もそこまでカメラには詳しくないのですが、最近のカメラの高性能化を見るにフレームレートの基準が30fps → 60fpsと底上げされてきているように感じます。この慣例もいつかは改められるかと思います。

さて、「高速度カメラ(ハイスピードカメラ)とは何ぞや?」ということを簡単にご説明させていただきましたので、ここからは弊社の高速度カメラと他社様の高速度カメラの仕様を比べながら、弊社の考え方を書かせていただこうと思います。

あすみ技研製接触角計他社比較

まずは表1をご覧ください。

これは「あすみ技研接触角計の標準カメラ/オプションカメラ」と「某科学機器メーカー様のカメラ」との仕様比較表になります。

ご覧の通り、某社様は標準装備のカメラがかなりのハイスペックになっていますね。

 

それに反してあすみ技研の標準カメラは抑え気味です。もちろん理由がございます。

あすみ技研標準カメラが60fpsの理由

当社の考え方として通常の静的接触角を測定するのであれば、フレームレートは60fpsあれば十分と考えておりますし、実績も過去数多あります。それで今に至るまで御客様よりフレームレートについて厳しいお言葉を頂戴したこともございません。高速度カメラをオプションとして御用意をしているのもこの考えのもとでの設定になります。高スペックのカメラを良かれという思いで単に装備するのではなく、適切な装置に適切な装備と考えた結果になります。

次にあすみ技研の高速度カメラを見ていきましょう。

あすみ技研の高速度カメラはフレームレートが4段階切り替えとなります。

Minが60fps、Maxが500fpsとなります。おそらくK社様のカメラも数段階での切り替えが可能と思われます。

ここで・・・・

最高でもあすみ技研、K社の半分じゃないか?

と思われた方もいらっしゃると思います。

先ほどの標準カメラの時と同様、これにも弊社なりの考えがございます。

あすみ技研の高速度カメラが最大500fpsの理由

一般的なフレームレート(30fps)で捉えきれない現象を逃さずに捉えるために高速度カメラは用います。ここで高速度カメラを使用しなければ捉えられない現象を例として挙げていきます。

  1. 一般的な濡れ性測定(静的接触角の経時変化測定):およそ60fps
  2. バラエティやスポーツ番組で用いられているスーパースロー再生:およそ250fps
  3. 野球やソフトボールのバッティングのインパクト:およそ500fps
  4. ペットボトルの製造工程解析:およそ1000fps
  5. 女性用化粧品のファンデーションの落下試験:およそ2000fps 

御客様の知りたい、もしくは測定したい濡れ性は上記①~⑤のどれくらいでしょうか?

動的接触角測定を行う際、滑落性に特化した物であれば③くらいまでのフレームレートはあっても良いと個人的には思います。なので接触角計B100Wと高速度カメラのセットでお問い合わせいただくのかもしれませんね。

④、⑤まであっても不足ではありません。「備えあれば憂いなし」という諺もあるくらいなので。ですが、これだけの画像を瞬時に処理するだけのパソコンの処理能力、画像を保存するだけのハード容量、解析用パソコンはハイスペックとなり、コストもかかるのではないでしょうか?あすみ技研ではこの問題と実際の測定の実態とを勘案し、フレームレートは最大で500fpsとしております。

想像してみてください。例えば、

サンプル数 5
測定箇所 1サンプルにつき3か所
N数 5
測定時間 10秒
カメラ速度 1,000fps

5個×3か所×N数5×10秒×1,000fps=750,000枚

ちょっとした動的接触角の測定で、75万枚の写真が溜まります。あっという間にハードディスクがいっぱいになりますね!

いかがでしたでしょうか?

 

高速度カメラが一体どんなもので、何故必要なのか。

どのような現象がどれくらいのフレームレートで撮影可能なのかがなんとなくでもおわかりいただけたでしょうか?動的接触角測定で除去性の良いものについての測定を検討中、あるいは装置購入を検討していてカメラで悩んでいるという御客様がいらっしゃったら、お気軽にあすみ技研までご連絡ください。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(T.S)