毛髪の濡れ性評価
あすみ技研のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。コラム担当のT.Sです。
さて、実のところ何をテーマにしようかなぁ・・・と思案していたところ、社内の雑談が聞こえてきました。
「最近、毛髪の接触角測定の問い合わせ、多くないか?」
「自分も最近2件くらい続けて担当したかな。細いから扱いづらく、手強かったよ」
そういえば最近、私も担当したな・・・・。
というわけで今回のテーマが「毛髪の接触角測定」です。
もし毛髪の測定をお考えの御客様がいらっしゃったならば今回のコラム、参考にしていただければ嬉しいです。それでは今回もよろしくお願いします。
毛髪の接触角測定ですが、皆さんはどのように測定しますでしょうか?細いのはもちろんですがコシが無く軽量の為、しっかり固定しないと着液できません。細いとピントを合わせるのも一苦労ですし、そもそも接触角計で測定するのがふさわしいのか・・・・。
「測定は毛髪の断面方向から測定するのが良い?それとも側面から?」
ちなみに弊社ではどちらも正解と考えます。ただ測定にあたり注意すべき点もありますので、そのあたりも説明していきます。
まずは毛髪の断面方向、側面方向のところからです。電話口にて口頭で黄色線のような説明をしてもらったとして、すぐにわかる方が何人いらっしゃるでしょう。今でこそ私はわかりますが、接触角計を担当した当初はすぐに意味がわかりませんでした。
これについては図1及び図2のイラストをご覧いただけますでしょうか。
髪の毛の固定方法の写真もご用意いたしました。専用の治具などがあると格好がつくのですが、身近にあった硝子セルを流用しています。
いかがでしょう?こうやってイラストにすると一目瞭然ですね。但し、測定にはちょっとしたコツといいますかポイントはあります。あくまで弊社で意識しているポイントですが、もし髪の毛の測定をお考えの御客様がいらしたら、参考にしいただけたらと思います。
髪の毛の測定のポイント
ポイント①:髪の毛は試料台に直接固定せず、台座に固定
直接試料台に固定してしまうと髪の毛と試料台の識別がしにくい為です。試料台も髪の毛も『黒』なうえ、拡大画像ではバックライトがあるため、色が識別しにくいためです。
ポイント②:髪の毛を固定する際は、ピンと張る
ピンと張らないと着液がしにくいためです。接する面積が非常に小さいため付着力も極小になるため、測定対象物(今回は髪の毛)が動かないようにしましょう。実例写真では、養生テープ(黄緑色)で固定をおこないました。
ポイント③:針先と髪の毛の測定位置は可能な限り合わせる
目視の範囲で良いので可能な限り合わせましょう。特に断面方向からの測定については可能な限り、針位置と測定ポイントは同一平面状且つ同一直線状とするとベターです。
ポイント④:着液量は可能な限り少なく
着液量は可能な限り少なくしましょう。日本人の髪の毛の太さは平均でおよそ0.08mm。着液量を少なくしないと髪の毛上から零れ落ちてしまいます。通常での一番細い針サイズは33G、懸滴量はおよそ0.01μℓ。
いかがでしたでしょうか?髪の毛の測定について参考になりましたでしょうか?
測定方法については断面方向からでも側面方向からでも正解です。大事なのは測定する際にはしっかりと今回書かせていただいたポイントを押さえて頂くこと。そして評価する際は測定方向は必ず揃えたデータで行っていただくこと。
これに尽きます。 あとは対象物が髪の毛でかなり細く、コシがなく、始めはやりづらさを感じると思いますが、それは練習あるのみです。それでは本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(T.S)