測定原理(動的接触角)

主な動的接触角の測定原理をご紹介します。

固体表面に液滴を着液後、液を注入したり吸入したりする際の挙動を測定する方法です。 通常の静的な接触角では、着液後数秒で平衡状態になります(図1)。 その後、液を注入すると液滴は膨らんでいきます。その際の接触角(図2、 θ A )を前進接触角(advancing contact angle)と呼びます。

接触角(静止状態)
図1
動的接触角(拡張時)
図2
動的接触角(収縮時)
図3

また、反対に液を吸入すると液滴は縮小しますので、その際の接触角(図3、 θ R )を後退接触角(receding contact angle)と呼びます。

θ A - θ R を濡れのヒステリシス(接触角のヒステリシス contact angle hysteresis)と呼び、固体表面の粗さや不均一性の指標として用いることができます。

拡張/収縮法による動的接触角の測定には、通常の接触角計にオートディスペンサを用いることによって測定することができます。

傾斜法(滑落法、転落法、Sliding Method、Measurement on a slope)とは、液滴を水平にした固体表面に着液後、傾斜させる際の挙動を測定する方法です。

水平状態から徐々に傾けていくと液滴はある傾斜角度から滑りだします。この角度を滑落角(転落角、sliding angle、図4: α )といい、その際の液滴の前方の接触角を前進接触角(advancing contact angle、図4: θ A )、後方の接触角を後退接触角(receding contact angle、図4: θ R )と呼びます。

前進接触角・後退角接触角と滑落角
図4:前進接触角・後退接触角と滑落角
  • 前進接触角: θ A
  • 後退接触角: θ R
  • 滑落角: α

傾斜法の測定で得られるデータとしては、下記の測定値を取得できます。

  • 前進接触角(前進角)
  • 後退接触角(後退角)
  • 滑落角(転落角)
  • 着液後の液滴の直径
  • 液滴の滑落速度(μm/s)/加速度(μm/s2

傾斜法による測定は、通常の接触角計に傾斜ユニット(TBU-100)を組み合わせて行います。

B100W
装置構成:接触角計B100W

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傾斜除去性

固体試料に液体試料を着液させてた後、徐々に傾斜させ、液滴の後側(後退角側)の端点を基準にした転落角での移動速度、加速度をもって、液体試料の除去性を評価しました。速度が速いほど、除去性に優れていると言えます。B100Wで測定可能です。

付着エネルギー(Adhesive energy)

付着エネルギーは液体試料が「水」であることを前提として、後側(後退角側)の端点を基準とした転落角から計算しています。水以外の液体試料で測定を行った場合は、その液体試料の密度(g/cm3)を掛けた値が実際の付着エネルギーとなります。

付着エネルギーは以下の式から求めることができます。

付着エネルギー計算式

E:付着エネルギー

m:液体資料の質量

g:重力加速度

α:転落角

r:液滴の着液半径

付着エネルギーイラスト

この式は、固体試料に着液した液滴の外縁部が「円」であることが前提となっています。したがって、水平時の着液径が傾斜によって大きく変化した場合は、誤差も大きくなります。B100Wで測定可能です。