液滴量と動的接触角
メリークリスマス!今年も残すところ、あと数日になりました。
今年も当社のコラムを見ていただきましてありがとうございます。来年も何卒よろしくお願いいたします。
さて2018年最後のテーマは過去のコラムでもテーマにした傾斜法についてですが「傾斜速度」ではなく、「測定時の液滴の量」についてです。
傾斜法測定において測定時の液滴量の大小は測定値に影響するのでしょうか?
既に弊社接触角計のB100W、または他社製の傾斜法測定装置で傾斜法測定を行ったことがある御客様であれば、「液滴の量で測定値は変わるに決まってるよ~」と思っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
ですが「実際本当に違うのか?」、「違うのであればどの程度違うのか?」について確認したり、大まかにでもこれくらいと答えられる方は意外にいらっしゃらないのではないでしょうか。今日はそれを純水とPTFEの組合せで試しにやってみようという内容です。
液体試料と固体試料の組合せは世の中に無数に存在するため、その中の1つの組合せをやって何かが語れるようになるわけではありませんが、「まずはやってみようじゃないか!」という主旨です。今回も、もしお時間があるようならば、最後までお付き合い願います。
測定条件
- 使用装置:接触角計B100W
- 液体試料:純水
- 固体試料:PTFE
- 傾斜速度:1°/sec
- 懸滴量:10μL~20μL(懸滴量の刻みはわかりやすく1μLとした)
- 固体試料の測定前処理
①固体試料の測定面をIPAを含ませたベンコットにて拭き洗浄
②ベンコットにて測定面を乾拭き(IPA残りの無いよう)
③測定面を除電ブラシにて除電
※タイトルには「測定時の液滴量」とありますが、実際には着液時に針先残液があるため、ビシビシに着液量をコントロールできず・・・実際には懸滴量での比較、着液量は成り行きです。
測定結果
懸滴量10μL~20μLの範囲で刻みはわかりやすく1μLで測定を行いました。結果を見ると転落角は上昇傾向にありそうに見えて、20μLでカクンと下がる結果。それもそうなのですが、懸滴量10μLと20μLの範囲で転落角については差が1°の範囲内にほぼ収まっているという事実。純水とPTFEの組合せでは液滴量が転落角に及ぼす影響は少ないのでしょうか・・・。正直、もう少し変化があるかと予測していたので少し意外でした。
他にも測定データは取っていますが、今回編集が間に合わず。ご了承ください。
いかがでしたでしょうか?今回は取り急ぎ懸滴量と転落角の関係性を純水とPTFEの組合せで見てみましたが、少なくとも純水とPTFEの組合せについては液滴量が転落角に及ぼす影響は1°程度。静的接触角でも偏差が1°~2°程度はあり得ることから考えても、影響は小さいと言えるのではないでしょうか。
せっかくですので、一応同時に取得した前進角・後進角のデータも下記に掲載します。
それでは今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
(T.S)